
イベント広場が空いている。駐車場の一角を使えないか。週末の集客をもう一段上げたい——商業施設でキッチンカーを検討するとき、最初に決めるのが条件です。
いくらで貸すのか。単発の催事にするのか、毎週入れるのか。何台まで入れるのか。
この記事では、出店コネクトナビに掲載中の募集案件を数えました。2026年9月13日時点で募集中の110件のうち、商業施設・モールは29件です。実際にどう設計されているかを見ていきます。
先に結論です。
- 29件すべてが常設。 単発の催事は1件もない
- 「固定+歩合」の併用は全110件で9件。うち8件が商業施設。 スーパーと学校には0件
- 固定なら1日5,000〜8,000円、併用なら3,000円+売上の15%が最も多い
- 千葉11件・埼玉9件と、郊外の大型店に集まっている
単発の催事は1件もない
29件を見て、まず目につくのがこれです。すべて常設——毎週または毎月、決まった曜日に入る形をとっています。
「催事」という言葉から想像するのは、3日間のイベントや季節のフェアかもしれません。ですが実際に募集が出ているのは、そうした単発ではありません。
理由は集客のしかたにあります。
単発の催事は、その日のために告知して人を集める必要があります。告知の手間も費用もかかり、終われば元に戻ります。一方で商業施設に来るのはもともと買い物に来る人です。人を集める必要がなく、すでに来ている人の滞在時間を伸ばすのが目的になります。
毎週土曜に出ていれば、「土曜はあの車が来る」と覚えてもらえます。 覚えてもらえた時点で、来店の理由がひとつ増えます。
出店者の側にとっても常設は魅力です。同じ場所に通えば売上が読めるようになるため、条件が多少きつくても続けて入ってくれます。 単発だけを出していると、良い出店者ほど来なくなります。
【実データ】「固定+歩合」の併用が多い
出店料の決め方を、場所の種類ごとに並べるとこうなります。
| 場所 | 固定制 | 歩合制 | 併用 | 応相談 |
|---|---|---|---|---|
| 商業施設(29件) | 17件 | 2件 | 8件 | 2件 |
| スーパー(35件) | 32件 | 2件 | 0件 | 1件 |
| 学校(31件) | 0件 | 31件 | 0件 | 0件 |
| 上記以外(15件) | 3件 | 8件 | 1件 | 3件 |
「固定+歩合」の併用は全110件で9件。うち8件が商業施設です。残る1件は埼玉のまちかどスペースで、スーパーと学校には1件もありません。
ただし、これは「場所の性質」ではありません
ここは正直に書きます。 上の表は、場所の種類の差というより数社の方針の差です。
- 商業施設29件のうち23件がイオン系
- スーパー35件のうち33件がチェーン2社(Olympic 18件・サンユーストアー 15件)
- しかも固定32件は、32件すべてがこの2社
決定的なのはここです。系列に属さない独立のスーパー2件は、2件とも歩合制でした。固定は1件もありません。
つまり「スーパーは固定」というのは業態の必然ではなく、大手2社が本部で決めた1つの条件を、全店舗に横展開した結果です。学校31件も、実際には22校の重複を含みます。
同業がこうしているから、と合わせる必要はありません。 自分の施設の来客がどう振れるかで決めてよい、というのがこのデータの読み方です。
なぜ併用が選ばれるのか
以下はデータではなく、条件の設計としての説明です。
商業施設は、来客数は多いが日によって大きく振れる場所です。晴れた土曜と雨の平日では売上が何倍も違い、セールの有無でも客足が変わります。
固定制だと、売れない日に出店者が損をします。歩合制だと、当たった日でも施設側の取り分が読めません。併用は、その両方をならす形です。
実際に使われている併用(商業施設8件)は2通りありました。
| 形 | 実例 | 件数 |
|---|---|---|
| 足し算型 | 3,000円+売上の15%/4,000円+売上の10% | 6件 |
| 最低保証型 | 売上の20%。ただし平日2,000円・休日7,500円は必須 | 2件 |
足し算型は、下限を固定で確保したうえで、売れた分だけ上乗せする形です。出店者から見ると「最低これだけは払う」が分かるので、条件を読みやすくなります。
最低保証型は2件とも同じ系列の同じ文面でした。歩合が主で、売上が伸びなかった日だけ下限が働きます。毎回「歩合と下限のどちらが高いか」を比べる必要があるので、運用の手間は足し算型のほうが軽いです。
実際の出店料
固定制の案件で設定されている金額です。
| 形 | 平日 | 週末・祝日 | 件数 |
|---|---|---|---|
| 曜日で分ける | 4,500〜7,000円 | 6,500〜9,000円 | 6件 |
| 曜日で分けない | 1日5,000〜8,000円 | 同左 | 11件 |
※いずれも出店者が支払う総額です。仲介を通す場合、施設が受け取るのはここから手数料を引いた額になります。
曜日で差をつけている6件の開きは、1,000円が1件・2,000円が3件・2,500円が2件でした。週末のほうが来客が多いぶん、出店料も上がる形です。
併用の場合は3,000円+売上の15%が4件で最も多く、次いで3,000円+10%、4,000円+10%が各1件でした。
出店料の相場そのものはキッチンカーの出店料の相場に、平日と週末の差は平日の出店場所にまとめています。
どこに集まっているか
29件を都道府県で分けると、こうなります。
| 都道府県 | 件数 |
|---|---|
| 千葉県 | 11件 |
| 埼玉県 | 9件 |
| 東京都 | 4件 |
| 神奈川県 | 4件 |
| 宮城県 | 1件 |
千葉と埼玉で20件と、7割近くを占めます。東京は4件しかありません。
ただし、これも23件がイオン系という偏りの裏返しです。全国の商業施設の傾向ではなく、いま募集を出している数社の店舗網がこう分布している、というだけです。
自分の施設に置けるかどうかは、地域ではなく、動線を邪魔しない区画があるかで判断してください。 キッチンカーを入れるには、車を停める区画と、お客様が並ぶ場所が要ります。
何を売る車を入れるか
判断の基準はひとつです。その商品が、館内で買えるかどうか。
商業施設にはテナントの飲食店やフードコートが入っています。館内で買えるものを外で安く売れば、テナントの売上を食うだけです。テナントから苦情が出ると、催事そのものが続かなくなります。
- ラーメン、カレー、丼もの … フードコートと正面からぶつかる
- クレープ、コーヒー、生ジュース … 館内に無いことが多く、持ち歩けるので回遊も止めない
売り場との競合の考え方はスーパーの駐車場にキッチンカーを誘致するにはに詳しく書きました。
何台から始めるか
まず1台をおすすめします。
複数台を並べると賑わいは出ますが、1台あたりの売上は下がります。売上が下がると、次から来てくれません。 良い出店者を確保するほうが、台数を増やすより効きます。
3か月ほど1台で回して、来客の反応と売上を見てから増やしてください。判断の材料はこの3つです。
- 行列ができているか … できていれば台数を増やす余地がある
- テナントから苦情が出ていないか
- 出店者が続けて入りたいと言っているか … 言われなければ条件が合っていない
手続きと注意点
契約書に入れる項目、保険の確認、電源と給排水、近隣への説明。ここは駐車場を貸す場合と共通するので、駐車場をキッチンカーに貸すにはにまとめました。
商業施設で特に気をつけたいのは消防法まわりです。屋内や屋根のある場所で火気を使う場合、消防署への届出や、消火器の配置が求められることがあります。設置場所が決まった時点で、管轄の消防署に相談してください。
スーパーの駐車場に入れる場合の条件設計はスーパーの駐車場にキッチンカーを誘致するにはにあります。
よくある質問
商業施設の催事は、単発と常設のどちらがよいですか?
常設です。 募集中の商業施設29件は、すべて常設でした(2026年9月13日時点)。単発は告知の手間がかかるうえ、終われば元に戻ります。毎週同じ曜日に出すほうが「その日に行く理由」になり、出店者も続けて入ってくれます。
出店料はいくらに設定すればよいですか?
固定なら1日5,000〜8,000円が中心です。曜日で分ける場合は平日4,500〜7,000円・週末6,500〜9,000円。併用なら3,000円+売上の15%が最も多い設定でした。これは出店者が支払う総額で、仲介を通す場合は手数料を引いた額が受取になります。
固定と歩合、どちらにすべきですか?
商業施設では併用がよく使われています。 募集中29件のうち8件が併用で、スーパー35件と学校31件には0件でした。ただしこれは場所の性質というより数社の方針で、商業施設29件のうち23件が同じ系列です。来客の振れ方で決めてください。運用の手間を減らすなら「3,000円+15%」のような足し算型が扱いやすいです。
どんなジャンルを入れるべきですか?
館内で買えないものです。クレープやコーヒーはフードコートと競合しにくく、持ち歩けるので回遊も止めません。ラーメンや丼ものはフードコートと正面からぶつかり、テナントから苦情が出ます。
何台くらい入れられますか?
まず1台から始めてください。台数を増やすと1台あたりの売上が下がり、出店者が続けて来なくなります。3か月ほど様子を見て、行列ができるようなら増やす、という順序が安全です。
まとめ
- 商業施設の募集29件はすべて常設。単発の催事は1件もない
- 併用9件のうち8件が商業施設。 スーパーと学校には0件
- 併用は足し算型(3,000円+15%)と最低保証型の2通り
- 固定なら1日5,000〜8,000円。曜日で差をつける6件は1,000〜2,500円の開き
- 千葉11件・埼玉9件と郊外の大型店に集中。駐車場の広さが効いている
- 入れるジャンルは館内で買えないもの。フードコートと競合させない
出店コネクトナビは、キッチンカーを呼びたい場所と、出店したいキッチンカーをつなぐサービスです。掲載は無料で、条件を決めて募集を出せます。