
駐車場に空いている区画がある。土日の集客をもう一段上げたい。キッチンカーを入れてみようか——そう考えたとき、最初に決めることになるのが条件です。
いくらで貸すのか。歩合にするのか固定にするのか。何を売る車を入れるのか。
この記事では、出店コネクトナビに掲載中の募集案件を数えました。2026年9月13日時点で募集中の110件のうち、スーパー・食品店は35件で最多です。実際にどう設計されているかを見ていきます。
先に結論です。
- スーパーの案件は35件すべてが常設。単発のイベントは1件もない
- 出店料は9割が固定制(35件中32件)。学校31件はすべて歩合制で、正反対
- 出店料(出店者が払う額)は1日3,000〜5,000円が中心
- 系列店をまとめて募集するのが定石。1店舗で条件を固めて横に展開する
なぜスーパーで常設なのか
35件を見て、まず目につくのが単発が1件もないことです。すべて「毎週この曜日に来てください」という常設の形をとっています。
理由は集客のしかたにあります。
イベントは「その日だけ人を集める」ものですが、スーパーの駐車場に来るのはもともと買い物に来る人です。人を集める必要がなく、すでに来ている人の滞在時間と客単価を上げるのが目的になります。
だから1回で終わらせる意味がありません。毎週同じ曜日に出ていれば、「水曜はあの車が来る日」と覚えてもらえます。 覚えてもらえた時点で、キッチンカーは売り場の一部になります。
出店者の側にとっても常設は魅力です。同じ場所に通えば売上が読めるようになるため、条件が多少きつくても続けて入ってくれます。
【実データ】出店料は9割が固定制
ここがいちばんはっきり出ました。スーパー35件の出店料の決め方です。
| 決め方 | 件数 |
|---|---|
| 固定制(1日◯円) | 32件 |
| 歩合制(売上の◯%) | 2件 |
| 応相談 | 1件 |
※募集要項に書かれた金額の書き方で数えました。
9割が固定制です。これは場所の種類によってはっきり違います。
場所の種類で決め方がまるで違う
同じ110件を場所の種類で分けると、こうなります。
| 場所 | 固定制 | 歩合制 | 併用 | 応相談 |
|---|---|---|---|---|
| スーパー(35件) | 32件 | 2件 | 0件 | 1件 |
| 商業施設(29件) | 17件 | 2件 | 8件 | 2件 |
| 学校(31件) | 0件 | 31件 | 0件 | 0件 |
学校は31件すべてが歩合制でした。スーパーと商業施設は固定制が主で、学校だけが正反対です。
ただし、これは場所の性質というより数社の方針の差です。スーパー35件のうち33件はチェーン2社で、固定32件は32件すべてがこの2社。系列に属さない独立のスーパー2件は、2件とも歩合制でした。「スーパーは固定」は業態の必然ではなく、大手2社が本部で決めた条件を横展開した結果です。
もうひとつ、「固定+歩合」の併用は9件のうち8件が商業施設です。スーパーには1件もありません。商業施設の条件の組み方は商業施設でキッチンカーの催事を組むにはにまとめました。
学校は在籍者数から売上が読めそうに見えますが、長期休みや試験期間で客足が大きく振れます。振れる場所は歩合、読める場所は固定という説明はつきますが、上のとおり件数の大半は数社の方針で決まっています。
なぜスーパーは歩合にしないのか
歩合制は「売上の10%」のように、売れた分だけ受け取る方式です。一見すると公平ですが、スーパーで採用されにくい理由が3つ考えられます。以下はデータではなく、条件の設計としての説明です。
- 売上の確認に手間がかかる。 毎回いくら売れたかを報告してもらい、突き合わせる作業が発生します。店舗の業務にこれを足すのは現実的ではありません
- 金額が読めない。 固定なら年間の収入が計算できますが、歩合は天候で上下します
- キッチンカー側も嫌がらない。 スーパーは客足が読めるので、出店者から見ても固定のほうが有利になりやすい
手間をかけずに、双方が納得しやすい。 これが固定制に集まる理由です。
実際の出店料(出店者が払う額)
固定制の案件で、実際に設定されている金額です。
| 例 | 平日 | 週末 | 件数 |
|---|---|---|---|
| 首都圏のチェーンA | 3,000円 | 4,500円 | 17件 |
| 別業態に転換した1店舗 | 5,500円 | 7,500円 | 1件 |
| 茨城のチェーンB | 5,000円 | 5,000円 | 14件 |
※いずれも出店者が支払う総額です。仲介を通す場合、店舗の受取はここから手数料を引いた額になります。
チェーンAは平日と週末で1,500円の差をつけ、チェーンBは均一にしています。どちらも成立しています。
18店舗のうち1店舗だけ金額が高いのですが、これは別業態のディスカウントストアに転換した店舗でした。業態が変われば条件も変えてよい、という例です。
差をつける利点は、来客の多い週末にしっかり受け取れること。均一の利点は、条件が単純で説明が要らないことです。運用に手をかけられないなら均一のほうが楽です。
なお出店料の相場そのものはキッチンカーの出店料の相場に、平日と週末の差は平日の出店場所にまとめています。
何を売る車を入れるか
ここを外すと、出店者も店舗も損をします。売り場と競合しないことが第一条件です。
出店コネクトナビに登録している出店者のジャンルは、食事603店・スイーツ512店・ドリンク478店・物販36店です(複数選択のため合計は登録数を超えます)。母数は十分あるので、選べます。
| 相性 | ジャンル | 理由 |
|---|---|---|
| ◎ | クレープ、ドーナツ、たい焼き | 惣菜売り場に無い。買い物の前後に食べられる |
| ◎ | コーヒー、タピオカ、ジュース | 飲料は売り場と単価帯が違う |
| ○ | ケバブ、ホットドッグ | 温かい軽食。惣菜と時間帯をずらせば共存できる |
| △ | 弁当、唐揚げ、焼き鳥 | 惣菜売り場と正面から競合する |
| △ | パン | ベーカリーがある店舗では避ける |
判断の基準はひとつです。その商品が、店内で買えるかどうか。 店内で買えるものを外で安く売れば、売り場の売上を食うだけです。
買い物のついでに食べるもの、店内に無いものを入れてください。
系列店はまとめて募集する
35件の内訳を見ると、チェーンAが18件、チェーンBが15件。この2社で33件を占めます。
つまり1店舗ずつ個別に交渉しているのではなく、系列全体でほぼ同じ条件を出しているということです。これには理由があります。
- 条件を1回決めれば、全店舗で使える。 店舗ごとに交渉する手間が消える
- 出店者が広がりやすい。 1店舗で信頼された出店者に、近隣の系列店も任せられる
- 店舗間で比べられる。 同じ条件なら、どの立地が向いているかが分かる
最初の1店舗はテストです。 3か月ほど回して、来客の反応と売上の変化を見てから、横に広げてください。
まず1店舗、どこから始めるか
向いているのは次の条件がそろう店舗です。
- 駐車場に、動線を邪魔しない区画がある(出入口から遠すぎない場所)
- 平日の昼か、週末の午後に来客の山がある
- 近隣に住宅が接していない(においと音の苦情が出にくい)
手続きと注意点
条件が決まったら、実務です。契約書に入れる項目、保険の確認、電源と給排水、近隣への説明。ここは駐車場全般に共通するので、駐車場をキッチンカーに貸すにはに詳しくまとめました。
スーパー特有で気をつけたいのは保健所への確認です。キッチンカー事業者は自分で営業許可を持っていますが、店舗の敷地内で継続的に営業させる場合、施設側にも確認が要ることがあります。 管轄の保健所に一度聞いておいてください。
よくある質問
スーパーの駐車場の出店料は、いくらに設定されていますか?
募集中の案件では、1日3,000〜5,000円の固定制が中心です。首都圏のチェーンは平日3,000円・週末4,500円(17件)、茨城のチェーンは平日・週末とも5,000円(14件)で設定していました(2026年9月13日時点、出店コネクトナビ掲載の35件より)。これは出店者が支払う出店料の総額です。 仲介を通す場合、店舗が受け取るのはここから手数料を引いた額になります。
固定制と歩合制、どちらがよいですか?
スーパーなら固定制です。案件35件のうち32件が固定制でした。歩合は毎回の売上確認が必要で、店舗の業務が増えます。ちなみに学校の案件は31件すべてが歩合制で、場所の性質によって答えが変わります。
どんなジャンルのキッチンカーを入れるべきですか?
店内で買えないものです。クレープ、ドーナツ、コーヒーなどは惣菜売り場と競合しません。弁当や唐揚げは惣菜と正面からぶつかるため、売り場の売上を食う可能性があります。
何店舗から始めるべきですか?
まず1店舗です。募集中の案件でも、チェーンは同じ条件を系列全体に展開しています。1店舗で3か月ほど試し、来客の反応を見てから広げるのが安全です。
単発のイベントとして呼ぶこともできますか?
できますが、募集中のスーパー案件35件はすべて常設でした。スーパーの駐車場に来るのはもともと買い物客なので、1回では覚えてもらえません。毎週同じ曜日に出す形のほうが効果が出ます。
まとめ
- スーパーは募集中110件のうち35件で最多。全件が常設
- 出店料は9割が固定制(35件中32件)。一方で学校は31件すべてが歩合制
- 出店料は1日3,000〜5,000円が中心。平日と週末で差をつける例と、均一の例の両方がある
- 入れるジャンルは店内で買えないもの。弁当や唐揚げは惣菜と競合する
- まず1店舗で3か月試してから、系列に広げる
出店コネクトナビは、キッチンカーを呼びたい場所と、出店したいキッチンカーをつなぐサービスです。掲載は無料で、条件を決めて募集を出せます。