
駐車場の一角が空いている、利用率の低い時間帯がある。そうしたスペースをキッチンカーに貸すのは、遊休スペースを収益に変える方法のひとつです。平日のランチタイムや週末だけ貸す、といった使い方ができます。駐車場に限らない空きスペースの活用として、決めることと始め方は遊休スペースの活用にキッチンカー誘致という選択肢にまとめています。
ただし通常の駐車場運営とは、確認すべきことが違います。この記事では、実際にいくらで貸せるのかと、受け入れる前に何を確認すべきかをまとめます。
いくらで貸せるのか
まず気になるのが金額でしょう。出店コネクトナビで募集中の案件(2026年10月17日時点、129件)を数えたところ、貸し出し条件は大きく2通りでした。
| 決め方 | 相場 |
|---|---|
| 固定制(1日◯円) | 平日3,000円〜8,000円、週末4,500円〜9,000円。中央値はどちらも1日5,000円 |
| 歩合制(売上の◯%) | 売上の10%がもっとも多い(歩合の案件44件中30件) |
件数では固定制51件、歩合制35件です。詳しい内訳はキッチンカーの出店料の相場にまとめています。
ひとつ注意があります。 ここに出ている金額は、募集要項に書かれた「キッチンカーが払う出店料」です。仲介を通す案件では、この中から手数料が引かれた額が場所側の受取になります(例:平日3,000円の案件で、場所側2,000円・運営1,000円)。ご自身で直接募集する場合は、全額が受取額です。
固定と歩合、貸す側はどちらを選ぶべきか
売上が読めない最初のうちは歩合、実績が見えてから固定が無難です。
歩合なら、来客が少なかった日に相手の負担が軽くなるので、続けてもらいやすくなります。固定は収入が読める代わりに、売れない場所だと相手が離れます。1日で埋まらない枠を作るより、少額でも続けて入ってもらうほうが、年間では収益が大きくなります。
実際の募集でも、常設の案件118件のうち49件が固定制、31件が歩合制と分かれています。
スーパーの駐車場を貸す場合は、話が少し変わります。 募集中のスーパー64件のうち、金額を出している35件では32件が固定制で、歩合はほとんど使われていません。残る29件は応相談で、うち28件はドン・キホーテ系列の店舗です(スーパーの駐車場にキッチンカーを誘致するには)。
貸す前に確認すること
土地の用途と契約の確認
最初に確認すべきは、その駐車場でキッチンカーの営業ができるかどうかです。
- 用途地域と建築基準法上の制限
- 賃貸物件の場合、賃貸契約に「駐車場以外の用途禁止」の条項がないか
- 管理組合や地主への事前相談・承認
- 自治体の条例による制限
賃貸で借りている駐車場を貸すのは、又貸しにあたる可能性があります。 必ず貸主の承諾を、書面で得てください。あとから発覚するとトラブルになります。出店者の側が、承諾をくれた相手に本当に貸す権限があるかをどう確かめているかはキッチンカーの私有地出店に書きました。
火気を扱う車両のため、消防設備や避難経路について管轄の消防署に事前相談しておくと確実です。
保健所への届出が要るかどうか
キッチンカー事業者は自分で保健所の営業許可を取っています。ただし出店の形によっては、場所を貸す側にも届出が求められる場合があります。 「臨時営業」として扱われるとき、主催者名義の届出が必要になることがあるためです。
多くの場合は事業者側の許可で足りますが、地域や運用のしかたで変わります。管轄の保健所に「駐車場の一角で定期的にキッチンカーを受け入れる場合、こちら側の手続きは必要か」と確認しておくと安心です。
契約書に入れる項目
口頭の合意だけでは、後で困ります。簡単なもので構わないので、書面を交わしてください。
- 貸す範囲 … 駐車スペース何番と何番の2台分、と場所を明示する
- 利用できる日時 … 毎週火・木曜日 11:00〜14:00、と具体的に
- 料金と支払い方法・期日 … 固定か歩合か、歩合なら売上の確認方法も
- 契約期間と、更新・解約の条件 … 解約は1か月前の通知、など
- 設備の使用範囲 … 電源、水道、ゴミ処理
- 禁止事項 … 騒音、におい、指定場所以外での営業
- 原状回復の義務
- 損害賠償責任の所在
契約期間は、最初の1〜3か月を試行期間として、問題がなければ更新する形にしておくと、お互いに動きやすくなります。
責任の範囲をはっきりさせる
どこまでが貸す側の責任かを決めておきます。一般的な線引きはこうです。
- 事業者の責任 … 営業そのものに起因する事故(食中毒、調理中の火災、商品のトラブル)、車両による施設の破損
- 貸す側の責任 … 駐車場の設備不良に起因する事故
「近隣からの苦情がくり返される場合は契約を解除できる」という条項も入れておくと、いざというとき動けます。
保険の確認
キッチンカーの営業では、食中毒、火災、第三者への損害といったリスクがあります。契約前に、事業者の保険加入を必ず確認してください。
- PL保険(生産物賠償責任保険) … 食中毒などによる損害を補償。食品を扱う以上、必須です
- 施設賠償責任保険 … 営業中の事故で第三者に与えた損害を補償
- 自動車保険 … 営業使用が補償の範囲に入っているか
- 火災保険 … 車両火災による周辺への被害
保険証券のコピーを提出してもらい、補償内容と補償金額(最低でも1億円程度)、有効期限を確認します。 更新のたびに証明書を出し直してもらう仕組みにしておくと、切れたまま営業されるのを防げます。
出店者側がどこまでそろえているか
出店コネクトナビでは、キッチンカーで飲食を売る出店者に、運転免許証の表裏、食品衛生責任者証、営業許可証、損害賠償保険証書、PL保険証券、自動車任意保険証券を必須の書類としてお願いし、1件ずつ審査しています。何をどう見ているかはキッチンカーの出店に必要な書類に書きました。
個人で受け入れる場合は、この確認をご自身で行うことになります。 どの書類のどこを見ればよいかの参考にしてください。
貸す側の保険も見直す
施設所有者としての賠償責任保険に入っている場合でも、キッチンカーの受け入れが補償の範囲に入っているとは限りません。 保険会社に「駐車場の一部を飲食販売の目的で貸し出す」と伝え、必要なら契約を見直してください。
設備をどこまで用意するか
電源
キッチンカーの多くは、冷蔵庫や調理機器のために100Vまたは200Vの電源を使います。
- 提供できる電気容量(一般に15A〜30A程度)
- 電気料金の負担方法
- 延長コードやコンセントの管理責任
- 漏電ブレーカーの設置
電気料金は定額(1日500円〜1,000円程度)にするか、メーターを付けて実費精算するかを先に決めます。実際の募集でも「水道光熱費1,000円(使わなければ不要)」のように、出店料とは別に明記している例があります。
電源を出せない場合は、発電機の持ち込みになります。その場合は低騒音型を使ってもらうよう条件に入れてください。発電機の音は苦情の原因になりやすい項目です。
給排水
キッチンカーには給水・排水タンクが積まれていますが、長時間の営業では補給や処理が必要になります。水道設備がある場合は、使えるかどうかと条件を明示してください。
排水は、下水への直接排水は認めず、タンクでの回収を基本に。 不適切な排水は悪臭やつまりの原因になります。
ゴミ
営業後のゴミは事業者が持ち帰る、を原則にします。ルールを決めておかないと、駐車場のゴミ箱に置いていかれることがあります。契約書か利用規約に「すべてのゴミは事業者が持ち帰る」と明記し、守られなかった場合の扱いも決めておいてください。
安全と近隣への配慮
動線
キッチンカーが入ると、駐車場内の人の流れが変わります。
- 出店場所と駐車車両の動線が交錯しないか
- 消防法上の緊急車両の進入路を確保できているか
- お客様の待機スペースは足りるか
- 看板やのぼりが視界を妨げないか
営業開始前に、事業者と現地で配置を確認してください。 図面だけでは分からない問題が見つかります。
近隣への事前説明
周辺に住宅やテナントがあるなら、先に一言伝えておくだけでトラブルが減ります。「毎週水曜の昼、駐車場の一角でキッチンカーが営業します」程度の内容で構いません。マンションやオフィスビルが近い場合は、管理組合や管理会社にも説明しておきます。
起こりやすいのは次の4つです。
| 起こること | 防ぎ方 |
|---|---|
| 発電機の騒音 | 低騒音型の使用、または外部電源の提供 |
| 調理のにおい | 揚げ物の扱いを事前に相談。風向きを見て配置する |
| ゴミの散乱 | ゴミ箱の設置と、事業者による回収を条件にする |
| 駐車場の混雑 | 購入客の待機場所を決める。規模によっては誘導を依頼 |
苦情が出たときの連絡先と対応の流れも、先に決めておいてください。
始めたあとにやること
初回は立ち会う
初めて営業する日は、できるだけ現場を見てください。 契約どおりの場所か、清掃や片付けは適切か。問題があればその場で伝えるほうが、あとから直してもらうより早く済みます。
定期的に確認する
- 契約どおりの時間・場所で営業しているか
- 清掃と原状回復が適切か
- 近隣からの苦情はないか
- 保険の有効期限は切れていないか
月に1回、簡単なチェックシートで確認すると管理が楽になります。あわせて事業者と話す機会を作ってください。 近隣の声、駐車場の利用状況、歩合制なら売上。共有しておくと、営業時間や場所の調整がしやすくなります。
3か月〜半年で条件を見直す
次のような場合は、契約内容を見直す時期です。
- 想定より集客が多く、駐車場の利用に支障が出ている
- 逆に集客が少なく、スペースを活かせていない
- 電気や水道の使用量が想定と大きく違う
よくある質問
駐車場をキッチンカーに貸すと、いくらになりますか?
募集要項に出ている出店料は、固定制なら1日5,000円が中央値(平日3,000円〜8,000円、週末4,500円〜9,000円)、歩合制なら売上の10%がもっとも多い条件です(2026年10月17日時点、出店コネクトナビ掲載の129件より)。これはキッチンカーが払う額なので、仲介を通す場合は手数料を引いた額が受取になります。
固定と歩合は、どちらで貸すのがよいですか?
売上が読めないうちは歩合をおすすめします。 来客が少なかった日の相手の負担が軽くなるため、続けて入ってもらいやすくなります。実績が見えてから固定に切り替えると、収入が読めるようになります。
賃貸で借りている駐車場でも貸せますか?
貸主の承諾が必要です。 又貸しにあたる可能性があり、賃貸契約に「駐車場以外の用途禁止」の条項があることもあります。書面で承諾を得てから進めてください。
保健所への届出は必要ですか?
多くの場合は、キッチンカー事業者が持っている営業許可で足ります。ただし「臨時営業」として扱われる場合、場所を提供する側の届出が必要になることがあります。 管轄の保健所に確認してください。
いちばん多いトラブルは何ですか?
発電機の騒音とにおいです。どちらも近隣からの苦情につながります。低騒音型の発電機を使ってもらう、外部電源を出す、揚げ物の扱いを事前に相談する、といった対応で防げます。
まとめ
- 募集要項に出ている出店料は、固定なら1日5,000円(中央値)、歩合なら売上の10%がもっとも多い
- その金額はキッチンカーが払う額。 仲介を通すなら手数料を引いた額が受取になる
- 最初は歩合、実績が見えてから固定に切り替えるほうが続きやすい
- 賃貸の駐車場を貸すのは又貸しにあたる可能性がある。 貸主の承諾を書面で
- 保健所への届出が要るかは、管轄に確認する
- PL保険の加入は必ず確認する。 証券のコピーで補償内容と有効期限まで
- 発電機の騒音とにおいが、苦情のいちばんの原因
出店コネクトナビは、キッチンカーを呼びたい場所と、出店したいキッチンカーをつなぐサービスです。掲載は無料で、条件を決めて募集を出せます。駐車場スペースの活用をお考えなら、キッチンカーを呼ぶからご相談ください。