募集者向け2026年10月17日

キッチンカーを呼ぶときの注意点|先に決める10項目と主催者の負担

キッチンカーを呼ぶときの注意点|先に決める10項目と主催者の負担

キッチンカーを呼ぶとき、困りごとが起きやすいのは当日です。たとえば、会場のゴミ箱が昼過ぎにあふれる。延長コードの先でブレーカーが落ちる。小雨で開くか決まらないまま、朝から出店者の問い合わせが続く。どれも、呼ぶ前に「誰が持つか」を決めておけば防げることです。

この記事では、イベントや施設の担当者の方に向けて、キッチンカーを呼ぶときの注意点を、呼ぶ前に決める10項目と、出店者と主催者の負担の分け方にまとめます。数字は出店コネクトナビに掲載した案件の集計です(2026年10月17日時点。これまでに掲載した317件、うち募集中129件)。

先に結論です。

  • 営業に要るもの(許可・車の設備・自分のゴミ・保険)は出店者、会場全体のこと(場所の許可・動線・来場者のゴミ・中止の判断・近所への説明)は主催者、と分けると決めやすくなります
  • 決めていないと当日に困るのは、ゴミ・電源・雨の日の判断・近所への音や煙です
  • 設備などの欄が入っている170件で、ゴミの処理を「主催者処理」とした案件は0件、想定来場者数に数字が入っていた案件は4件でした
  • 電源も水道も無い会場の募集も出ています。発電機と水のタンクを積んだ車に来てもらうかわりに、発電機の音の向きと、汚れた水を捨てさせない決まりを主催者が決めます

呼び方・費用の記事との違い

呼ぶまでの流れはキッチンカーの呼び方、依頼の文面は出店依頼メールの例文、不特定多数に向けた募集なら出店者募集要項の書き方、お金の形と金額はキッチンカーを呼ぶ費用、保健所・消防・保険の手続きは主催者がやる保健所・消防・保険の3つにまとめています。

この記事はその手前の話です。呼んだあと、当日に困るのは誰かから逆算して、先に決めておくことを並べます。

【実データ】当社の掲載で見る、会場の条件

これまでに掲載した317件のうち、出店の形が「イベント」(日を決めた催し)の案件は100件、「常設」(毎日・毎週の営業)は217件です。イベントは開く日が限られるので、決め忘れを当日に直す余裕がありません。

下の表は、設備などの欄(電源・水道・ゴミ・雨天など)が入っている170件の集計です。170件の内訳は常設147件・イベント23件で、常設の募集が中心です。このうち45件は、2つのチェーンが店舗ごとに出している募集で、条件が似ています。件数がそちらに引っぱられないよう、除いた125件も並べます。

欄の値 170件のうち チェーンの45件を除く125件のうち
電源「無し」 31件 18件
水道設備「無し」 64件 24件
電源も水道も「無し」 30件 17件
搬入と搬出の時刻を記入 63件 24件
想定来場者数に数字を記入 4件 4件
ゴミの処理「主催者処理」 0件 0件
雨天時の対応「雨天決行」 169件 124件

募集を作る画面では、電源と水道は「有り」、ゴミは「各自」(出店者がそれぞれ処理する)、雨天は「雨天決行」が、最初から選ばれた状態で開きます。「無し」は初期値のままでは入らない値なので、その会場の実際の条件と見てよい値です。反対に「各自」「雨天決行」には、初期値のまま残ったものも混ざっている可能性があります。

電源も水道も無い会場でも、募集は出ている

チェーンを除いた125件でも、電源も水道も「無し」の会場が17件ありました。発電機や水のタンクを積んだ車なら出られるので、設備が無いことだけで、呼べないとは限りません。そのかわり、発電機の音や汚れた水の扱いを会場の側で決めます(3・4・10)。

来場者のゴミと来場者数は、欄に出てこない

ゴミの処理を「主催者処理」とした案件は、170件中0件でした。出店者が自分のゴミを処理する形は、それ自体は問題ありません。ただ、来場者が食べたあとの容器や串を誰が引き取るかは、この欄では決まりません(5で触れます)。

想定来場者数に数字が入っていたのは4件(イベントの23件では2件)です。台数を決めるもとになる数が、募集の段階ではほとんど出ていません。

近所に関わる決まりは、本文に書かれていない

317件の本文(説明・募集内容・出店料・備考の欄)で、発電機・騒音・エンジン(アイドリング)・ゴミ・排水の語に触れた案件は0件でした。近所に向けた決まりは、主催者の側で決めて出店者に伝えます(10で触れます)。

呼ぶ前に決める10項目

1. 台数:区画・電源・売上の3つで上限を見る

台数は「呼びたい数」ではなく、次の3つのうち一番小さい数で決まります。

  • 区画:停められる台数と、お客さまが並ぶ場所。1台あたりの広さの目安は呼び方の記事にあります
  • 電源:電源を貸すなら、同時に使える台数(3で触れます)
  • 売上:1台あたりに回ってくるお客さまの数

売上の側は、来場の見込みから割り算します。たとえば来場1,000人のうち食べ物を買う人を半分と見るなら、4台で1台あたり125人です(数字は説明のための仮のものです)。出店者はこの数で、何食分を仕込むかを決めます。台数が多すぎると1台あたりのお客さまが減って出店者が集まりにくくなり、少なすぎると行列が延びます。来場の見込みは、前回の人数やチラシの配布数など、根拠と一緒に伝えてください。

2. 時間:搬入・営業・搬出を、来場者の動きと分ける

決める時刻は3つです。会場に車が入れる時刻、販売を始めて終える時刻、会場を出る時刻。車が会場の中を動くのは、来場者が歩いていない時間にします。終わった直後に来場者の間を車が出ないよう、片づけを始める合図と出る順番も決めておきます。当社の掲載で搬入と搬出の時刻まで書いた案件は、チェーンを除く125件のうち24件、イベントの23件のうち7件でした。

3. 電源:「有り」ではなく、口数・容量・距離

電源を使うキッチンカーは、1台あたり1,500W程度を使う車が一般的です(当社のイベントの手配のページ)。電源を貸すなら、「有り」の一言でなく次を伝えます。

  • 1台に何口か。同じ回路(ブレーカー)に何台つなぐか
  • 車を停める位置からコンセントまでの距離と、延長コードはどちらが持つか
  • 電気代を出店料に含めるか、別に取るか

NITE(製品評価技術基盤機構)は、つなぐ電気製品の消費電力の合計が、延長コードなどの配線器具の上限(例として500W、1,500W)を超えないよう呼びかけ、コードリールは巻いたまま使うと上限が小さくなると注意しています。何台までなら同時に使えるかは、会場の電気の担当の方と確かめてください。

電源を貸さないなら、発電機を積んだ車に来てもらいます。音と排気の向きは10で、消火器と消防への届出は主催者がやる保健所・消防・保険の3つで扱います。

4. 水と排水:タンクで来る。捨てる場所を決めておく

キッチンカーは、きれいな水と汚れた水のタンクを積んで来ます。福岡市の案内では、給水タンクは営業の内容に応じて40〜200リットル、廃水タンクは給水タンクと同じ量です。

主催者が決めるのは、汚れた水を会場で捨てさせないことです。植え込みや側溝、雨水ますに流されると、においと汚れが残ります。持ち帰りを基本とし、会場に捨ててよい場所があるなら、その場所を示します。水道を貸すなら、飲める水かどうかと、蛇口の位置も伝えます。

5. ゴミ:出店者のゴミと、来場者のゴミを分ける

ゴミは2つに分けて決めます。

  • 出店者の仕込み・調理のゴミ:廃棄物処理法は、事業者は事業活動に伴って出たゴミを自らの責任で適正に処理しなければならない、と定めています(第3条第1項)。当社の募集の「ゴミの処理:各自」は、この形です
  • 来場者が食べたあとの容器・串・飲み残し:新宿区は、事業活動に伴って出たゴミには客が捨てたものも含まれると案内しています。会場にゴミ箱を置くなら、それは催しのゴミとして処理します

横浜市資源循環局の主催者向けの案内では、イベントで出るゴミは事業系のゴミで、市の家庭ゴミの収集には出せません。燃やすゴミは主催者が焼却工場へ持ち込むか許可業者に頼み、プラスチックの容器・ペットボトル・缶・びんは産業廃棄物として許可業者に頼む、としています。扱いは自治体で違うので、開催地のゴミの担当課に確かめてください。

決めておくのは3つです。ゴミ箱を置くか。置くなら、誰が回収してどこへ出し、費用を誰が持つか。置かないなら、持ち帰りをどう呼びかけるか。

6. 保健所への相談と、許可・保険の確かめ

営業許可は出店者が取るものですが、催しとして保健所に相談するのは主催者、という自治体があります。江東区は、催事の主催者は必ず事前に保健所へ相談するよう案内し、キッチンカーが多く出る催しでは主催者の責任の下での自主的な衛生管理を求めています。横浜市西区は、開催の2週間以上前までの事前相談を求め、出店者が多い催しでは書類の取りまとめや、区画・手洗い設備など会場の設備の検討を主催者にお願いしています。

出店者からは、開催地で有効な営業許可証と、保険の証券の写しをもらいます。許可証の見方は、上で挙げた保健所・消防・保険の記事に、PL保険の中身はキッチンカーのPL保険の選び方にあります。

7. 雨天・荒天:誰が、いつ、何を見て決めるか

「雨天決行」の一言では、小雨と台風の間のどこで中止にするかが決まりません。当社の掲載でも、317件の本文(説明・募集内容・出店料・備考の欄)で中止・順延・延期の語が出てくる案件は0件でした。決めるのは4つです。

  • 判断する人:主催者の誰か。会場の管理者と別なら、どちらが決めるか
  • 判断の時刻:出店者が仕込みを始める前(前日の夕方、当日の朝など)
  • 判断の基準:気象庁の警報・注意報は、原則として市町村ごと(東京23区は区ごと)に出ます。「開催地の市区町村に暴風の警報が出ていたら中止」のように、誰が見ても同じ答えになる基準にします
  • 知らせ方:メール、電話、グループの連絡など。届いたかを確かめる方法も

当社のキャンセルポリシーでは、開催する日に来ないと出店者の都合の取消しとして扱います。判断が遅れるほど、出店者は仕込んだ材料を抱えたまま待つことになります。

8. キャンセル:4つの場合に分けて決める

取消しは、次の4つに分けて決めておきます。

  1. 出店者の都合で来られなくなったとき
  2. 連絡なく来なかったとき
  3. 主催者の都合で中止・縮小するとき(台数を減らす場合も)
  4. 天候・災害で中止するとき

当社のキャンセルポリシーは、出店が確定したあとの出店者の都合にはキャンセル料がかかり、主催者の都合や、天候で主催者が中止を決めたときにはかからない形です(基本の考え方で、案件の募集要項に定めがあればそちらが優先します)。連絡なく来なかった出店者は、以後の応募の制限などの対象になることがあります。主催者の都合で中止になったときの出店者の仕入れや移動の費用は、当社では補償していません。自分で募集する場合の書き方は募集要項の記事にあります。

あわせて、連絡の窓口と締切を決めます。「前日の18時までは担当者のメールへ、それ以降は当日の責任者の電話へ」のように時間で分けておくと、取り違えが起きにくくなります。

9. 道路:搬入の道・待つ場所・行列の向き

会場が道路そのものなら、警察署長の道路使用許可と、道路管理者の道路占用許可(道路法第32条)の2つが要ります。道路交通法は、場所を移動しないで道路に露店や屋台店を出そうとする人に、警察署長の許可を求めています(第77条第1項第3号)。窓口と手順は保健所・消防・保険の記事にあります。

会場が私有地でも、周りの道路は関わります。

  • 待つ場所:開場前や搬入の順番待ちで、車を周りの道路に並べて待たせない。会場の中か、近くの駐車場に待つ場所を用意します
  • 行列:お客さまの列が歩道にはみ出さない向きに、車の窓を向けます
  • のぼり・看板・いす:道路交通法は、交通の妨害となるような方法で物をみだりに道路に置くことを禁じています(第76条第3項)。歩道に置かないよう伝えます

搬入の道は、車の高さと幅も見ます。門や屋根、木の枝で通れないことがあります。

10. 近所:音・煙・におい・エンジンと、前もってのお知らせ

公害等調整委員会の令和6年度の公害苦情調査では、典型7公害の苦情47,622件のうち、騒音が39.5%、大気汚染が26.5%、悪臭が19.2%でした(キッチンカーに限らない全国の数です)。発電機の音と排気、焼き物の煙とにおいは、この3つに重なります。

  • 配置:発電機と排気口、煙の出る車を、住宅の窓や建物の吸気口に向けない
  • 時間:発電機を回してよい時間(搬入から撤収まで)を決める
  • エンジン:東京都の環境確保条例は、駐停車のときのエンジンの停止を運転者に求め、20台以上が入る駐車場の設置者・管理者には利用者への周知を求めています(練馬区の案内。例外もあります)。エンジンをかけたまま営業してよいかは、開催地の決まりを確かめて伝えます
  • 前もってのお知らせ:近くの住宅や店舗に、日時と問い合わせ先を知らせる。周りの飲食店と品目が重なりそうなら、出してほしくないメニューを募集の段階で伝えます

当日の苦情の窓口は主催者に置き、出店者が直接言われたときに誰へ回すかも決めておきます。

主催者の負担の考え方

迷ったら、その出店者の営業に要るものは出店者、会場全体に関わるものは主催者と分けます。

項目 出店者が持つもの 主催者・会場が持つもの
許可・相談 開催地で有効な営業許可 会場・道路を使う許可、保健所への事前の相談(自治体による)
電気・水 発電機、給水・廃水のタンク 貸すならコンセント・水道と、その費用の決め方
ゴミ 仕込み・調理のゴミ 来場者のゴミ(ゴミ箱を置くなら回収と処理)
安全 車内の火や機器の扱い 配置、来場者の動線、車の出入りの誘導
判断と連絡 来られないときの早めの連絡 開催・中止の判断と、その知らせ
近所 音・排気・においを抑える使い方 前もってのお知らせ、苦情の窓口

消防への届出を出店者と主催者のどちらが出すかは、会場の消防署に確かめます。保険も、出店者のPL保険は出店者の商品が原因の事故に備えるもので、主催者が張ったテントや会場の配線が原因の事故まで含むとは限りません。主催者の側の備えは、会場の管理者が入っている保険や催しの保険の約款で確かめてください。

お金の負担は、呼ぶ形で決まる

来場者が自分で買う催しなら、主催者の負担は0円からで、出店料を受け取る側にもなります。主催者が払うのは、売上を保証する形や、料理を買い取って配る形を選んだときと、手配を任せるときです。金額と例はキッチンカーを呼ぶ費用、0円で呼ぶ仕組みはキッチンカーを無料で呼ぶにはにあります。

見落としやすいのは、お金以外の持ち出し

出店料とは別に、主催者の側にかかりやすいのは次のものです。

  • 電気代(電源を貸すとき)
  • 来場者のゴミの処理の費用(許可業者に頼むとき)
  • 机・いす・テント・照明の手配
  • 誘導や警備の人手
  • 会場の保険

これを誰が持つか(出店料に含めるか、別に取るか、主催者が持つか)を募集の前に決めておくと、出店料の額も決めやすくなります。当社に手配を任せていただく場合は、出店者への声かけと条件のとりまとめ、当日の運営、営業許可や保険などの書類の確認と申請の代行まで対応します(費用は台数と会場の条件をうかがってお見積りします)。

よくある質問

ゴミ箱は置いたほうがいいですか?

置くなら、回収と処理まで主催者が持つ前提で置きます。置かないなら、案内や放送で持ち帰りを呼びかけます。横浜市の主催者向けの案内は、来場者への持ち帰りの呼びかけや、係の人を置いた分別の場所を勧めています。

発電機の音が心配です。どうすればよいですか?

会場で電源を貸せるなら、発電機を使う台数を減らせます。貸せないなら、音の大きさは機種で違うので、応募のときに発電機を使うかどうかと、その種類を出店者に聞いてください。

雨で中止にしたら、キッチンカーに何か払う必要がありますか?

当社のキャンセルポリシーでは、天候などで主催者が中止を決めたとき、出店者にキャンセル料はかかりません。主催者の側は、キッチンカーを呼ぶ費用のよくある質問のとおり、中止を決めた時期によっては、仕入れ済みの材料代などのご負担をお願いすることがあります。判断の期限と中止のときの扱いは、募集や見積りの段階で決めておきます。

近所へのお知らせは、どこまですればよいですか?

決まった形はありません。住宅地や集合住宅の駐車場で開くなら、近くの住宅と店舗に、日時・場所・問い合わせ先を早めに知らせておくと、当日の苦情を主催者の窓口で受けやすくなります。

まとめ

  • 営業に要るものは出店者、会場全体のことは主催者。迷ったらこの線で分ける
  • 台数は区画・電源・売上のうち一番小さい数で決め、来場の見込みは根拠と一緒に伝える
  • 電源は口数・容量・距離、水は汚れた水を捨てさせない決まり、ゴミは来場者の分を決める
  • 雨の日は、判断する人・時刻・基準・知らせ方の4つ。キャンセルは4つの場合に分ける
  • 道路に車を待たせず、行列を歩道に出さない。発電機と煙は住宅に向けず、近所に前もって知らせる

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