
社内の催しや式典の食事を手配しようとして、「ケータリングカー」と「キッチンカー」という2つの言葉に出会うことがあります。同じものなのか、頼む先が違うのか。料理を届けてもらう「ケータリング」とは、何が違うのか。
この記事では、イベントや施設のご担当の方に向けて、3つの違いと、どれを頼むとよいかを、会場・人数・予算・許可の4つでまとめます。数字は出店コネクトナビの登録と掲載の集計です(2026年10月18日時点)。
先に結論です。
- 「ケータリングカー」も「キッチンカー」も、国の法令には出てこない言葉です。車の中で調理して売るなら、呼び方にかかわらず、確かめる営業許可は同じです(多くは飲食店営業で、食品衛生法施行規則に「自動車において調理をする場合」の基準があります)
- 車の呼び方より、来場者が自分で買うのか、主催者が料理を買い取って配るのかで、費用も頼み方も変わります
- ケータリング(作った料理を届けて会場で出す)は、車を停められない屋内や、時間を決めて一斉に食べる会に向きます。キッチンカーは、車を停められる屋外で、人数が読めない催しに向きます
- 当社に掲載したイベントの募集100件のうち、主催者がお金を払う形(料理の買い取りや売上の保証)を書いていたのは2件でした
3つの言葉の違い
この記事では、3つを次の意味で使います。
| キッチンカー | ケータリングカー | ケータリング | |
|---|---|---|---|
| どこで作るか | 車の中 | 使う人によって違う | 店の厨房など |
| どこで渡すか | 車の窓口 | 使う人によって違う | 会場で並べる・取り分ける |
| 会場に要るもの | 車を停める区画 | 確かめる | 料理を並べる台と場所 |
| 食品衛生法の許可 | 多くは飲食店営業(車で受ける) | その名前の区分は無い(中身で決まる) | 多くは飲食店営業(作る厨房で受ける) |
キッチンカー:車の中で作って、その場で売る
調理の設備と水のタンクを積んだ車で、会場に来て、注文を受けて作り、窓口で渡します。来場者がその場で代金を払う形が基本です。
ケータリングカー:何を指しているかを、先にそろえる
「ケータリングカー」は、決まった定義のある言葉ではありません。中古車の売り場などでは、キッチンカーと同じ車に「ケータリングカー」の名前も並べて使われています。一方で、「ケータリング」という言葉から、料理を運んで会場で出すための車を思い浮かべる人もいます。依頼の前に、会場で作って売る車なのか、作った料理を運ぶ車なのかを相手とそろえておくと、話が食い違いません。
ケータリング:作った料理を届けて、会場で出す
店の厨房などで作った料理を会場に届け、並べたり取り分けたりして出します。料理の代金は主催者がまとめて払うことが多く、来場者は並んで買いません。器・配膳の人・片付けを含めて頼めるかは、頼む先で違います。
法律の上での呼び方
食品衛生法では「自動車において調理をする」飲食店営業
キッチンカーで調理して売るには、食品衛生法第55条の営業の許可が要ります。業種は、多くが食品衛生法施行令第35条第1号の「飲食店営業」です。厚生労働省の通知(令和元年12月27日 生食発1227第2号)は、飲食店営業を「食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業」としています。
車で営業するときの決まりは、食品衛生法施行規則に書かれています。
- 施設の基準:別表第二十は、飲食店営業のうち「自動車において調理をする場合」に、1日の営業に使う水を供給し、廃水も保管できる貯水設備を挙げています。簡易な営業は約40リットル、比較的大量の水を要しない営業は約80リットル、比較的大量の水を要する営業は約200リットルです。都道府県は、この基準を参酌して条例で施設の基準を決めるので(食品衛生法第54条)、細かな基準は許可を出す保健所で確かめます
- 申請の書き方:許可の申請書の「施設の所在地」の欄には、自動車で調理する営業なら、その車の自動車登録番号を書きます(第67条第2号)
食品衛生法・施行令・施行規則には、「キッチンカー」も「ケータリングカー」も出てきません。国の法令をまとめて調べられる「e-Gov法令検索」でも、2つの語を使う法令は見つかりませんでした(2026年10月18日に検索)。上の通知は、この営業を「いわゆるキッチンカーによる営業」と呼んでいますが、「ケータリングカー」という言葉は出てきません。呼び方が違っても、車で調理して売るなら、確かめるのは同じ営業許可です。
ケータリングは、料理を作る厨房で許可を受ける
仕出し屋・弁当屋は、飲食店営業の例として挙がっています(広島市「許可や届出が必要な食品取扱い施設」、2025年2月21日更新。同じ例には「自動車でのたこ焼き(移動販売車)」もあります)。ケータリングの許可は、料理を作る厨房で受けるものです。
気をつけたいのは、会場で調理の続きをする、会場で来場者に売る場合です。町田市保健所は、催しの会場で飲食物を調理して多数の方へ出すには通常は営業許可が要り、屋外やテントなどの簡易な施設での調理は認めていない(一定の要件を満たす行事を除く)と案内しています。会場でどこまでの作業ができるかは、会場の保健所に確かめてください。
キッチンカーは、車そのものが許可を受けた施設です。会場で作って売れるのは、そのためです。ただし許可が使える区域には限りがあるので、開催地で有効な許可かを確かめます(キッチンカーの営業許可は複数県で要る?)。
車の登録の言葉も、別にある
車の登録(車検証)の側にも、「キッチンカー」「ケータリングカー」という区分はありません。国土交通省の「自動車の用途等の区分について(依命通達)」の細部取扱いは、特種用途自動車の車体の形状として「加工車」「販売車」「食堂車」などを挙げ、それぞれ構造の要件を決めています。主催者が確かめるのは車の登録の種類ではなく、営業許可証と保険です。
【実データ】当社の登録と募集で見る「ケータリングカー」
販売形態を選んだ66店のうち、64店が「キッチンカー」
出店コネクトナビに登録している出店者は3,521店舗で、うち出店者ページを公開しているのは1,398店です。出店者ページに出る「販売形態」は、出店者が「キッチンカー」「店頭出店(実店舗)」「テント・ブース」「移動販売車」「その他」の5つから選ぶ欄です。「ケータリング」や「ケータリングカー」の選択肢はありません。
1,398店のうち販売形態を選んでいるのは66店で、64店がキッチンカー、1店がテント・ブース、1店がキッチンカーとテントの両方でした(残りの1,332店は未選択です)。屋号、紹介文を書いている61店の紹介文、設備を書いている63店の設備の欄、載せているメニュー3,803品の品名と説明のどこにも、「ケータリング」の語はありませんでした。
料理を買い取って配る形に応じるかどうかは、出店者のページからは分かりません。頼みたい形を、こちらから伝えて聞きます。
イベントの募集100件で、主催者が払う形は2件
これまでに掲載した募集は316件(募集終了を含む)で、イベント100件・常設216件です。募集要項(出店料・説明・募集内容・備考の欄)で、主催者の側がお金を払う形(料理の買い取りや、売上が届かない分の保証)を書いていたのは、イベントの2件だけでした。常設の216件では0件です。
主催者が払う形の募集は、当社の掲載ではまれです。買い取って配る形でも、食数や条件を書いて募集を出せます(掲載は承認制で、出店料などの条件を確かめてから公開します)。
車の高さは、真ん中で2.55m
出店者ページの「車両サイズ」は、車検証の長さ・幅・高さをmmで入れてもらう欄です。1,398店のうち3つとも入れている60店から、明らかな入力の誤り2件を除いた58店で数えました。
| 全長 | 店の数 | 全長の真ん中 | 幅の真ん中 | 高さの真ん中 |
|---|---|---|---|---|
| 4m未満 | 37店 | 3.45m | 1.52m | 2.50m |
| 4m以上 | 21店 | 4.79m | 1.80m | 2.80m |
58店の高さの真ん中は2.55mで、42店が2.5m以上、11店が2.8m以上でした。門やひさし、立体駐車場、建物の入口に高さの制限があると、入れない車が多くなります。停める区画は、1台あたり軽トラック型で約3m×5m、1tトラック型で約3.5m×6mが目安です(当社のイベントの手配のページ)。
どれを頼むか:会場・人数・予算・許可の4つで決める
| 決め手 | キッチンカー(来場者が買う) | キッチンカー(主催者が買い取って配る) | ケータリング |
|---|---|---|---|
| 会場 | 車を停める区画が要る | 同じ | 屋内でもよい。並べる台と場所が要る |
| 人数 | 読めなくてよい | 決まっている(食数を先に決める) | 決まっている |
| 主催者の負担 | 0円から(出店料を受け取る側にも) | 単価×食数+出張費など | 頼む先の見積り |
| 食べ方 | 並んで買い、その場で食べる | 引換券などで受け取る | 時間を決めて一斉に |
| 許可 | 出店者が車で受けた営業許可 | 同じ | 作る厨房の許可。会場で調理・販売するなら会場の保健所に確認 |
会場:車が入って、停められるか
最初に見るのは、車が会場に入れるかです。入口の幅と高さ、区画の広さ、地面の傾きを確かめます。車が入れない屋内やビルの中なら、ケータリングか、テント・ブースでの出店を考えます(当社ではテント・ブースでの出店もご相談いただけます)。
電源や水道が無い会場でも、発電機や給排水のタンクを積んだ車なら出られることがあります。電源の決め方はキッチンカーの電源と発電機にあります。
人数:決まっているか、読めないか
出入りが自由で人数が読めない催しは、来場者が自分で買うキッチンカーが向きます。来場が見込めれば、主催者の持ち出しはありません。
人数が決まっていて、休憩時間などに一斉に食べる会は、ケータリングか、キッチンカーに買い取りで配ってもらう形が向きます。キッチンカーは注文を受けてから作って渡すのが基本なので、短い時間に大勢へ配るなら、台数を増やすか品目を絞ります。何食を何分で渡せるかは品目で違うので、出店者に聞いてください。
予算:誰が払うか
キッチンカーを呼ぶ費用は、3つの形で決まります(当社のキッチンカーを呼ぶ費用)。
- 来場者が買う形:主催者の負担は0円から。出店料を受け取る側になります
- 売上を保証する形:保証額を決め、売上が届かなかった差額だけを主催者が持ちます。目安は1台1日20,000円〜80,000円です
- 買い取って配る形:メニューの単価×食数に、出張費・諸経費(30,000円〜50,000円程度)を足します。100食程度からのご相談が一般的です
単価は、当社に載っているメニューの価格が参考になります。メニューに価格を載せている664店で、店ごとに価格の真ん中をとって並べると、その真ん中は600円でした(0円と1万円を超える品は除く。品目ごとの価格はキッチンカーの人気メニュー)。
ケータリングは、頼む先の見積りで決まります。比べるときは、器・配膳の人・片付け・運ぶ費用が含まれているかを、同じ条件でそろえて見ます。
許可:誰が何を受け、主催者は何を確かめるか
キッチンカーの営業許可は出店者が受けるものです。主催者は、開催地で有効な営業許可証と、PL保険などの証券の写しをもらって確かめます。会場や道路を使う許可は主催者の側の手続きです。火を使う出店の消防への届出は、出店者と主催者のどちらが出すかを会場の消防署に確かめます(主催者がやる保健所・消防・保険の3つ)。
ケータリングは、料理を作る厨房の許可を確かめます。会場で調理の続きや販売をするなら、上で触れたとおり、会場の保健所に相談します。
依頼のときに伝えること
「ケータリングカーを頼みたい」と問い合わせるときは、車の呼び方より、何をしてほしいかを先に書きます。
- 誰が払うか:来場者が買う/主催者が買い取って配る/売上が届かない分を補う
- 日時と、渡す時間:開始と終了の時刻。配るなら、何時から何分で何人に渡すか
- 人数と食数:1人に何品か。余ったときに来場者へ売ってよいか
- 会場:停める区画の広さ、入口の高さと幅、地面、電源と水道の有無
- 配り方:引換券・名簿・整理券など、受け取る人をどう確かめるか
- 食べる場所とゴミ:座る場所があるか。容器と食べ残しを誰が引き取るか
- 雨の日:決行か中止か、誰がいつ決めるか
- 請求書:登録番号の入った請求書(インボイス)が要るか
ゴミや雨の日の決め方はキッチンカーを呼ぶときの注意点に、依頼の文面は出店依頼メールの例文にあります。会社の催しで会社が飲食代を持つときの経理の確かめどころは、企業イベントの手配のページにまとめています。
当社では、頼み方を2つから選べます。ご自身で募集を出す形は、掲載も出店者とのやり取りも無料です(掲載は承認制)。出店者への声かけから当日の連絡までをお任せいただく形は、内容をうかがってお見積りします。
よくある質問
ケータリングカーとキッチンカーは、別の車ですか?
国の法令に「ケータリングカー」という言葉はありません。車の中で調理して売る車なら、呼び方が違っても、確かめる営業許可はキッチンカーと同じです(多くは飲食店営業)。「ケータリング」の言葉から料理を運ぶ車を思い浮かべる人もいるので、会場で作って売る車か、運ぶ車かを相手と確かめてください。
キッチンカーに、料理を作って配ってもらえますか?
頼めます。主催者が食数分を買い取る形で、費用はメニューの単価×食数に出張費・諸経費を足した額です(キッチンカーを呼ぶ費用)。受けるかどうかは出店者ごとに違うので、先に聞きます。配り終えたあと、残りを来場者に売ってよいかも決めておきます。
屋内の会場には、どちらが向いていますか?
車が入れない屋内なら、ケータリングか、テント・ブースでの出店が向きます。車の高さは、当社で数えた58店の真ん中で2.55mでした。建物の中や軒下に車を入れられるかは、会場の管理者に確かめてください。
ケータリングとキッチンカーは、どちらが安いですか?
形によります。来場者が自分で買うキッチンカーなら、主催者の負担は0円からです。主催者が全員分を持つなら、キッチンカーの買い取りもケータリングも食数で決まるので、器・配膳・片付け・運ぶ費用まで含めた額で比べます。
請求書(インボイス)は出してもらえますか?
インボイスの登録は出店者ごとに違います。登録番号の入った請求書が要るなら、依頼や募集の条件に書いておきます。出店者の側から見た説明はキッチンカーのインボイス対応にあります。
まとめ
- 「ケータリングカー」も「キッチンカー」も国の法令には無い言葉。車で調理して売るなら、確かめる営業許可は同じ(多くは飲食店営業)
- ケータリングは作った料理を届けて会場で出す形で、許可は料理を作る厨房で受ける
- 選ぶ決め手は、車が停められるか・人数が決まっているか・誰が払うか・会場で調理するか
- キッチンカーにも、買い取って配ってもらえる。費用は単価×食数+出張費・諸経費
- 依頼では、車の呼び方より「誰が払うか」と会場の高さ・広さを先に伝える