
商店街の空き地で、月に1回、地元の野菜と手作りの雑貨を並べたい。お寺の境内で、親子で楽しめる市を開きたい。マルシェを主催しようと決めたとき、手が止まりやすいのは「何の許可が要るのか」と「出店者をどう集めて、出店料をいくらにするか」です。
マルシェの許可や届け出は、会場がどこかと、出店者が何を売るかで決まります。全国で同じ手順があるわけではありません。この記事では、主催者がやることを8つの手順に分け、自治体や国の案内で確かめた例と、出店コネクトナビがこれまでに掲載したマルシェの募集の集計をあわせてまとめます(数字は2026年10月18日時点)。
先に結論です。
- 主催者がやるのは、会場を使う許可、保健所への事前の相談、火や熱を使う出店の消防への届出、保険、出店者の許可と書類の確認です。飲食の営業許可は出店者が取ります
- 保健所の扱いは自治体で違います。東京都世田谷区は、行事での臨時の出店を公共的な目的のある行事に限り、横浜市中区は開催のおおむね2週間前までの相談を求めています。出店者を決める前に、会場の保健所へ相談してください
- 食べ物のほかにも許可が要るものがあります。缶や瓶のお酒、手作りの石けんなどの化粧品、売るために仕入れた中古品は、出店者が免許や許可を持っているかを応募の段階で確かめます
- 当社が掲載したマルシェ20件(同じ催しの回をまとめると15の催し)のうち、出店料に金額を書いた11の催しでは、8つが出店の形で料金を分けていました(飲食と物販、テント・ブースとキッチンカー、屋内と屋外など)
ほかの記事との違い
キッチンカーを呼ぶ催しの手続きは主催者がやる保健所・消防・保険の3つ、募集要項のひな形は出店者募集要項の書き方、市や町が公募で集めるときは自治体イベントの公募、当日に困らないための決めごとはキッチンカーを呼ぶときの注意点にまとめています。
この記事は、テントの手作り品・雑貨・野菜と、キッチンカーなどの飲食が並ぶマルシェを、一から開くときの全体の流れです。くわしい手続きは、上の記事へリンクでつなぎます。
【実データ】当社が掲載したマルシェ20件
出店コネクトナビでこれまでに公開した案件316件(募集終了を含む)のうち、案件名に「マルシェ」(「まるしぇ」を含む)が入るものは20件で、すべて日を決めて開く催しでした。年まで分かるものは、どれも2024年か2025年の開催です。いまも募集中の表示が出ているのは1件です。
20件のうち6件は、八王子市の南大沢マルシェが季節ごとに名前を変えて開いた回です。同じ催しの回を1つにまとめると、15の催しになります。案件名・説明・募集内容・出店料の欄を読んで数えました。
| 見たこと | 20件のうち |
|---|---|
| 開く場所 | 東京都7件・千葉県3件・大阪府3件・愛知県2件、ほかの5県が1件ずつ |
| 2日以上続けて開く | 7件(うち6件は南大沢マルシェ) |
| キッチンカーに触れている(「キッチンカー」の語か、軽自動車・普通車の区分がある) | 15件(うち6件は南大沢マルシェ) |
| ハンドメイド・物販・ワークショップ・体験など、飲食以外の出店に触れている | 12件 |
| 出店料の欄に金額を書いている | 16件(うち6件は南大沢マルシェ) |
会場は、公園・駅前・寺社・民間の敷地
案件名・住所・説明から会場の種類が分かるものは、公園・芝生広場が4件、南大沢の駅前が6件(5件は住所に駅前の歩道・ペデストリアンデッキとあります)、神社・寺が2件、農場・遊園地・酒造の敷地の中のスペースが3件でした。残る5件は、書かれている内容からは会場の種類を決められませんでした。会場の種類で、取る許可と相談先が変わります(手順2)。
出店料は「出店の形」で分ける
出店料の欄に金額を書いた16件を、同じ催しの回を1つにまとめて数えると11の催しになり、そのうち8つが出店の形で出店料を分けていました。1件ずつ数えると「16件のうち13件」ですが、南大沢マルシェの同じ決め方が6回入るため、ここでは催しの数で数えています。金額は、どれも出店者が払う額です。
| 分け方 | 催しの数 |
|---|---|
| 飲食と、物販・ハンドメイド・ワークショップで分ける | 4 |
| テント・ブースの区画と、キッチンカーで分ける(車の大きさでも分けるものを含む) | 3 |
| 屋内と屋外で分ける | 1 |
| フリマだけを安くする | 1 |
| 企業の出店を高くする | 1 |
1つの催しが2つに当たるものがあるので、合計は8より多くなります。飲食と物販で分けた4つは、どれも飲食の側を高くするか、飲食にだけ売上の歩合を足す形でした。テント・ブースとキッチンカーで分けた3つも、どれもキッチンカーの側を高くするか、キッチンカーにだけ歩合を足していました。区画の広さで料金を変え、電源の貸し出しを別料金にした催しもありました。決め方は、あとの「出店料の決め方」で触れます。
当社の出店者は、飲食の店が中心
当社の登録出店者は3,521店です。出店者ページを公開している1,398店のうち、ジャンルを選んでいる801店で数えると、食事が618店、スイーツが532店、ドリンクが492店、物販が37店でした(1店で複数を選べます)。物販を選んだ37店も、34店は食事・スイーツ・ドリンクをあわせて選んでいます。ハンドメイドや雑貨の出店者は、地元の作家のつながりやSNSなど、ほかの集め方と組み合わせてください。
主催者がやる8つの手順
期限が決まっている手続きの例です。期限は自治体や窓口で違うので、会場の窓口で確かめてください。
| 手続き | 期限の例 | 出どころ |
|---|---|---|
| 保健所への事前の相談 | 開催のおおむね2週間前まで | 横浜市中区 |
| 消防への露店等の開設の届出 | 開設の3日前まで | 東京消防庁 |
| 缶・瓶のお酒を売るための期限付きの免許 | 販売場を開く日の2週間前までに申請(要件を満たせば10日前までの届出) | 国税庁 |
1. 目的・規模・日取りを決める
地域の交流、商店街の集客、寄付、お店の周年など、何のために開くかを先に決めます。保健所の扱いが、催しの目的で変わる自治体があるためです(手順3)。あわせて、出店の数、来場の見込み、日時、雨の日に開くかどうかを決めます。
何日も続けて開くなら、全日程に出られる店を優先するか、1日だけの出店も受けるかを決めて、要項に書いておきます。
2. 会場を決めて、使う許可を取る
| 会場 | 取るもの | くわしく |
|---|---|---|
| お店の駐車場・寺社の境内・民間の敷地 | 持ち主(管理者)の承諾。使える範囲・時間・火気・電源・ゴミ・片づけを書面で決める | 私有地の記事 |
| 公園 | 公園の管理者の許可。物を売ることをどこまで認めるかは、公園ごとに違う | 公園の記事 |
| 道路・歩道 | 警察署長の道路使用許可(道路交通法第77条)と、道路管理者の道路占用許可(道路法第32条) | 保健所・消防・保険の記事 |
駅前の広場やデッキは、道路なのか、鉄道会社や市の敷地なのかで相談先が変わります。まず、管理している所を確かめます。
3. 保健所に、募集の前に相談する
食べ物を扱う出店があるなら、出店者を決める前に、会場の保健所へ相談します。テントで何を作って出せるかが、相談の答えで変わるからです。例を3つ挙げます。
- 東京都世田谷区:行事での「臨時出店」の対象は、区・都・国・住民団体が関わるなど公共的な目的のある行事です。同じ出店者が出られるのは原則1年に5日以下で、扱える食品にも制限があります。開催まで余裕をもって保健所へ相談するよう求めています
- 東京都南多摩保健所(多摩市・稲城市・日野市):縁日や祭礼のように誰でも来られる行事で売るなら営業許可か届出が要り、学園祭やPTAのバザーのように参加する人が限られる行事は「模擬店実施届」を出す、と分けています
- 横浜市中区:開催のおおむね2週間前までの相談を求めています。町内会や商店街などの住民の団体が主催する地域の行事で、区の要領に当たるものは「行事開催届」(配置図・地図・チラシなど。原則として営業許可は要らない)、それ以外の催しで食品を出すときは「行事概要届」に、食品を扱う店の屋号・店の形・調理の有無・出す食品・1日あたりの数を付けて出します(食品や開催の期間によっては、営業許可や届出も要る)。キッチンカーが出るときは、どちらの届でも、営業許可証の写しと主催者による確認を付けます
世田谷区のように、臨時の出店を公共的な目的のある行事に限り、同じ出店者の日数に上限を置く自治体では、商売として開くマルシェや、同じ店が毎月出るマルシェで、テントでの調理を臨時の出店として扱えない場合があります。そのときは、キッチンカーなど営業許可を持つ店に飲食を任せる、包装した食品の販売を中心にする、といった組み立てを保健所と相談します。
4. 出店の区分と出店料を決める
飲食のテント、キッチンカー、物販・ハンドメイド、ワークショップ、野菜など、区分ごとに区画の数と広さ、電源の有無、出店料を決めます。同じ品目が重ならないよう、ジャンルごとの上限も決めておくと、選ぶときに迷いません。金額の決め方は、あとの節にまとめます。
5. 募集要項を作って、出店者を集める
要項の項目とひな形は出店者募集要項の書き方にあります。マルシェで書き足すのは、次の3つです。
- 区分ごとの区画・料金・持ち込む物:テント・机・いす・重りを、誰が用意するか
- 売る物の確認:商品の写真と、許可が要る物は許可証の写しを、応募のときにもらう(下の「売る物によって」の表)
- 保健所に出す出店者の情報:屋号・出す食品・調理の有無など、手順3で求められた項目を、応募の欄に入れておく
集め方は、前の回に出た店への声かけ、地元のお店や作家のつながり、SNS、募集のサイトの組み合わせです。当社に募集を無料で載せる方法もあります(あとで触れます。当社の出店者は飲食の店が中心です)。
6. 火や熱を使う出店は、消防に届け出る
東京消防庁は、火を使う器具などを使う露店を開くときは、開設の3日前までに消防署長へ届け出るよう案内し、催しの主催者や露店の代表者がまとめて届け出ることもできるとしています。対象の器具には、燃料を使うものだけでなく、電気を熱源とする器具も入ります。ホットプレートや電気のフライヤーを使う出店も対象に入ります。届出の期限や消火器の備え方は、会場の地域の火災予防条例で決まっていて、地域で違うことがあります。保健所・消防・保険の記事を見たうえで、会場の消防署に確かめてください。
7. 保険を決める
保険は、出店者の分と主催者の分に分けて考えます。
- 出店者:自分の商品が原因の事故に備えるPL保険(生産物賠償責任保険)など。製造物責任法の「製造物」は「製造又は加工された動産」で、食べ物に限りません。手作りのアクセサリーや雑貨を業として作って売る人も、製造業者に当たり得ます。一方、加工していない農林畜水産物は、この法律の対象になりません(消費者庁の製造物責任法のQ&A)。当社の出店者の登録では、損害賠償保険とPL保険の証券を、飲食かどうかにかかわらず「必須」の書類として案内しています
- 主催者:会場の設営や運営の不備で来場者がけがをした、主催者が張ったテントが倒れた、といった主催者の側の責任に備える保険。出店者のPL保険は、主催者が用意したテントや配線が原因の事故までは含まないことがあります
製造物責任法には、PL保険への加入を義務づける規定はありません(同じQ&A)。出店者に求めるなら、募集要項の条件として書きます。補償の範囲は保険の約款で決まるので、加入の前に確かめてください。PL保険の中身はキッチンカーのPL保険の選び方にあります。
8. 当日を運営する
- 配置図:区画の番号、手洗い・水場・トイレ・消火器の位置、搬入の道を1枚にまとめ、出店者と保健所の両方に渡します
- 搬入と受付:車とテントの搬入の時刻を区分ごとに分け、来場者が歩き始める前に終えます
- テント:脚ごとに重りを付けることを出店の条件にし、風が強くなったときに、誰がたたむ判断をするかを決めておきます
- ゴミ・雨天・苦情の窓口:決め方はキッチンカーを呼ぶときの注意点にあります
- 振り返り:来場の数、区分ごとの売れ行き、出店者からの声を控え、次の回の区分と料金を見直します
売る物によって、出店者が持つ許可が変わる
マルシェは売る物の幅が広いぶん、確かめることも増えます。主な例です。最後の判断は、それぞれの窓口に確かめてください。
| 売る物 | 確かめること | 窓口 |
|---|---|---|
| テントで作って出す飲食 | 開催地での営業許可、または臨時の出店の届出。臨時の出店では扱える食品に制限がある | 会場の保健所 |
| キッチンカーの飲食 | 開催地で有効な営業許可証の写し | 会場の保健所 |
| 包装した食品を、調理せずに売る | 常温で長く置いても傷まない包装食品だけを売るなら、営業の届出は要らない。これに当たらない食品の販売は、営業許可か営業の届出の対象になる(横浜市西区の案内) | 保健所 |
| 手作りのお菓子・パン | 菓子製造業などの許可。横浜市青葉区の案内では、自宅用とは別の営業用のキッチンが要り、ペットを飼っていれば床から天井まで壁と扉で区切る | 作る場所の保健所 |
| 缶・瓶のお酒 | 期限付酒類小売業免許。受けられるのは原則、酒類製造者か酒類販売業者。コップに注いでその場で飲んでもらう形なら、販売業免許は要らない(国税庁)。注いで出す飲み物の食品の扱いは、保健所に確かめる | 会場の税務署 |
| 手作りの石けん・化粧品 | 体を洗う石けんは化粧品に当たり、作って売るには化粧品製造業と化粧品製造販売業の許可が要る。バザーでの販売も対象(神奈川県) | 都道府県の薬務の担当課 |
| 古着・中古の雑貨 | 自分で使った物を売るなら、古物商の許可は要らない。売るために買った物は含まない(新潟県警察) | 警察署 |
手作りのお菓子や石けんは、要項に「許可証の写しを出せる方に限る」と書いておくと、応募のあとで断る手間が減ります。
出店料の決め方
まかなう費用から逆に決める
まず、主催者の側にかかる費用を並べます。会場の使用料、保険、チラシや広告、テント・机の貸し出し、電源、誘導や警備の人手、ゴミの処理などです。その合計を、埋まりそうな区画の数で割ると、1区画あたり最低限いくら要るかが見えます。寄付や地域の交流が目的なら、運営費を除いた分の使い道を要項に書いておくと、出店者にも伝わります。当社に募集を載せる場合は、募集に入れる額が出店者の払う総額で、主催者の受取分はその一部になります(下の「当社に募集を載せるとき」)。
区分ごとに分ける
当社の掲載でも、金額を書いた11の催しのうち8つが、区分ごとに金額を変えていました。飲食と物販を分けるなら、火・電気・水・ゴミの負担の違いを考えて決めます。電源を貸すなら、区画の料金に含めるか、別に取るかを書きます。
固定か、歩合か
固定額は、主催者が売上を集めて計算しなくて済むので、少人数の主催でも回しやすい形です。歩合(売上の◯%)は、売上の報告と精算の手間がかかり、率をかける売上が税込か税抜かも決めて書く必要があります(募集要項の記事)。1台1日の出店料の目安はイベント・マルシェの手配、キッチンカーの側から見た相場は出店料の相場にあります。
当社に募集を載せるとき
当社に募集を載せるなら、掲載料・登録料・成約手数料はかかりません。掲載は承認制で、運営が出店料などの条件を確かめてから公開します。募集を作る画面では、出店の形(キッチンカー・物販・テント・ブースなど)ごとに出店料と区画の条件を入れられ、入れた形だけが出店者の申込の画面に出ます(どの形も入れなければ、どの形でも申し込めます)。
募集に入れる出店料は出店者が払う総額で、主催者の受取分と当社の運営分を合わせた額です。内訳は担当者との打ち合わせで決めます。出店料は当社が出店者へ請求し、主催者の受取分は当社からお渡しします。出店者への声かけから当日の運営、書類の確認と申請まで任せていただく方法もあり、その費用は台数と会場の条件をうかがってお見積りします。
よくある質問
自宅で作ったお菓子を、マルシェで売ってもいいですか?
原則として、菓子製造業などの許可が要ります。横浜市青葉区の案内では、自宅用とは別に営業用のキッチンを設け、カウンターや扉で区切ることなどが求められています。主催者は、許可証の写しを出せる方に限ると、要項に書いておきます。
自分の店の駐車場で開けば、許可は要りませんか?
場所については、持ち主(借りている場所なら貸し主)の承諾で足ります。それでも、食べ物を出すなら保健所への相談と出店者の営業許可、火や電気の熱を使うなら消防への届出は残ります。行列やのぼりが歩道にはみ出すと、道路の決まりにも関わります。
主催者が保険に入れば、出店者の保険は要りませんか?
対象が違います。主催者の保険は会場の設営や運営の不備に、出店者のPL保険はその店の商品が原因の事故に備えるものです。どちらに何を求めるかを、募集要項で決めて書きます。
飲食の出店だけ、キッチンカーで集められますか?
できます。当社の登録出店者は3,521店で、募集は無料で載せられます。小さなマルシェで1台から相談したい場合は、イベント・マルシェの手配からご相談ください。
まとめ
- 許可は「会場」と「売る物」で決まる。会場の使用許可・保健所への相談・消防への届出・保険は主催者、飲食の営業許可は出店者
- 保健所には、出店者を決める前に相談する。臨時の出店の対象や日数、扱える食品は自治体で違う
- お酒・手作りのお菓子や石けん・仕入れた中古品は、出店者の免許や許可を応募の段階で確かめる
- 出店料は、まかなう費用から逆に決め、区分ごとに分ける。当社の掲載でも、金額を書いた11の催しのうち8つが分けていた
- 当日は配置図を1枚にまとめ、テントの重りと強風のときの判断を決めておく