
週末の催しの企画、平日の来館の落ち込み、広場や駐車場の使っていない一角。商業施設の販促や運営のご担当の方が集客の方法を探すと、セール、ポイント、抽選会、ステージ、体験の催し、物産展、フードフェスと、候補はいくらでも出てきます。
この記事では、打ち手を並べる代わりに、どの打ち手が何に効くかを比べる軸と、効果の測り方をまとめます。そのうえで、当社が扱うキッチンカー(食の催しや、決まった曜日の出店)がどこに当てはまるかを、出店コネクトナビに掲載した商業施設の募集から見ていきます。
数字は当社の集計です(2026年10月18日時点。案件の区分に「商業施設」が付き、サイトに載せている募集で、商業施設の出店場所の一覧と同じ集まりです。募集終了を含めて65件、うち募集中53件)。
先に結論です。
- 打ち手は、来館(来る人を増やす)・滞在と回遊(長く居て、ほかの店にも寄ってもらう)・再来館(また来てもらう)のどれを動かしたいかで選びます
- 食の催しが効きやすいのは、ほかの催しに添えて滞在を伸ばすときと、決まった曜日に出して来館の理由にするときです。食だけで人を呼ぶなら、グルメ合戦やフードフェスタのような催しの名前と告知が要ります
- 当社に掲載した商業施設の募集65件のうち51件が常設で、催しは14件でした。常設はどの曜日でも出られる形が中心で、終わった催しのうち曜日まで分かる5件は、どれも土日を含む日程でした
- 効果は、始める前に「目的に合った数字を1つ」と「比べる日」を決めて測ります。催しで来館者がどれだけ増えたかは施設の側の記録にしか無いので、入館や駐車場の記録と、出店者の売上報告を合わせて見ます
集客の打ち手は、動かしたい数字で比べる
日本ショッピングセンター協会のショッピングセンター(SC)の取扱い基準(2025年1月1日改定)は、条件の1つに「広告宣伝、共同催事等の共同活動を行っていること」を挙げています。館として共同の催しを組むことは、SCと呼ぶための条件の1つです。協会の集計では、2025年末のSCは全国で3,013ありました(改定後の基準で数えた数)。
ただ「集客」と一言でいっても、動かしたい数字は施設ごとに違います。ここからはデータではなく、打ち手を比べるための整理です。
3つの目的
| 目的 | 見たい変化 | 合いやすい打ち手の例 |
|---|---|---|
| 来館 | 来る人・車が増える | 季節の催事、ステージやキャラクターの催し、体験の催し、チラシ・アプリ・SNSでの告知、フードフェス |
| 滞在と回遊 | 長く居る。ほかの店にも寄る | 食べて休める場所、館内を回るスタンプラリー、買い物の額に応じた抽選会、子ども向けの体験 |
| 再来館 | 同じ人がまた来る | アプリやポイントの会員向けの施策、毎週・毎月の決まった催し、決まった曜日の出店 |
同じ打ち手でも、目的が違えば評価は変わります。抽選会は買い回りを促しやすい一方、遠くから新しい人を呼べるかは景品と告知しだいです。ステージの催しは人を呼べても、終わってすぐ帰る人が多ければ滞在は伸びません。
比べるときに並べる4つ
目的のほかに、次の4つを並べておくと、社内で説明しやすくなります。
- 施設の持ち出し:出演料・景品代・告知費・当日の人手など、施設が出すお金と手間
- お金の向き:施設が払う形か、出店料として受け取る形か
- テナントとの関係:テナントの売上に上乗せになるか、取り合いになるか
- 測りやすさ:効果を、どの記録で確かめられるか
食の催しが入る3つの形
キッチンカーを使った集客は、大きく3つの形に分かれます。
- ほかの催しに添える:ステージや体験の催しの日に、広場や駐車場の一角にキッチンカーを並べます。来た人が食べて休める場所ができ、催しの前後も館に残る理由になります
- 食を主役にする:グルメ合戦やフードフェスタのように、食そのものを催しの名前にします。台数とジャンルの幅、催しの名前と告知が来館の理由になります
- 曜日で続ける:毎週・毎月、決まった曜日にキッチンカーが来る形です。「土曜はあの車が来る」と覚えてもらえれば、近くに住む人の再来館の理由になります
キッチンカーからは、どの形でも出店料を受け取るのが中心です(当社に掲載した終わった催し11件も、すべて出店者が払う形でした。次の章)。違うのは施設の持ち出しで、1と2は催しの企画と告知に費用と手間がかかり、3は区画の用意と曜日の告知が中心になります。3の進め方はキッチンカーを誘致する方法に、単発より常設が組みやすい理由は商業施設でキッチンカーの催事を組むにはにまとめています。
【実データ】当社に掲載した商業施設の募集65件
8割近くが常設
登録の区分(常設・イベント)で分けました。
| これまでの掲載(募集終了を含む) | 募集中 | |
|---|---|---|
| 常設(毎週・毎月の出店場所) | 51件 | 50件 |
| イベント(日の決まった催し) | 14件 | 3件 |
| 合計 | 65件 | 53件 |
催しの募集は開催日が過ぎると終わるので、募集中の数は常設に寄ります。募集中のイベント3件は、どれもドン・キホーテの店の敷地の区画の募集です。
募集中の53件のうち、28件はドン・キホーテ系の店(ピカソ1店を含む23店)の区画、19件はイオン系の館(イオンモール・イオンタウン・イオンスタイルなど)で、ほかの館は6件です。地域は千葉県20件・神奈川県16件・東京都9件・埼玉県8件でした。この集まりはドン・キホーテの区画を含むので、館の名前で数えた催事の記事・定期開催の記事・導入の記事の件数とは数え方が違います。
65件の中に、施設の側が出店者にお金を払うと書いた募集はありませんでした。
終わった催し11件は、5件が「ほかの催しに添える」形
募集を終えた12件のうち11件が催しの募集です(年が書かれているものは2024年と2025年の開催)。催しの中身を題名から分けました。
| 形 | 件数 | 題名に出ていた催し |
|---|---|---|
| 食が主役 | 2件 | 関東グルメ合戦(イオンタウン守谷)、クリスマスフードフェスタ(横浜ワールドポーターズ) |
| ほかの催しに添える | 5件 | よさこいの催し、ハワイアンの催し、大型連休のパブリックビューイング、子どもの職業体験、お笑い芸人の展示 |
| 題名だけでは分からない | 4件 | モールやホームセンターでの催し |
題名から中身が分かる7件のうち5件は、人を呼ぶ催しが別にあり、キッチンカーはその日の食を受け持つ形でした。11件とも、出店料の欄は出店者が払う額(固定額や売上の歩合)です。
常設はどの曜日でも出られる形、終わった催しは土日を含む日程
募集中の常設50件のうち、曜日か日付が分かるのは36件です。
| 書き方 | 件数 |
|---|---|
| 文で「全曜日」「毎日」「月〜日」などと書いている | 17件(うち8件は「土日推奨」「週末推奨」と添えている) |
| 出店できる日をカレンダーで選び、1か月分の毎日を選んでいる | 18件(うち1件は、曜日の欄にも「平日/週末」と書いている) |
| 曜日を絞っている(金・土・日) | 1件 |
36件のうち35件は、どの曜日でも出られる形でした。また、募集中の53件のうち時刻を書いている27件は、どれもドン・キホーテ系の区画で、始まりは9時か10時、終わりは22時か、それより遅い時刻(日をまたぐものを含む)です。
一方、終わった催しのうち曜日まで分かる5件(年と日付か、曜日が書かれているもの)は、5件とも土曜か日曜を含む日程でした(1日だけが3件、土日の2日間が1件、土曜から6日間続くものが1件)。ほかに大型連休の催しが1件あります。
常設は曜日を開けておき、催しは週末に組む。ここから考えると、平日の来館の理由づくりは、催しより曜日を決めた出店のほうが組みやすい打ち手です(ここは集計からの考えです。催しは5件と少ないので、傾向の1つとして見てください)。曜日と時間帯の決め方は定期開催の曜日と時間帯の決め方にあります。
館の告知を選べる募集もある
募集中の53件のうち3件は、館内のデジタルサイネージや店内のポスターなどでの告知を、出店者が有料で選べる形にしていました。
キッチンカーが来る日を館の告知に載せるかどうかは、施設の側が決められます。載せなければ、その日に来た人にしか伝わりません。曜日で続けるなら、館内の掲示やアプリのお知らせで「毎週◯曜日」と知らせておくと、その曜日に来る理由として伝わります。
キッチンカーが効きやすい場面、効きにくい場面
ここはデータではなく、組み方の考え方です。
効きやすいのは、次のような場面です。
- 広場や駐車場の端など、屋外に区画があり、車が出入りできる
- 催しの日に、食べて休める場所が足りない
- 平日など、決まった曜日に来る理由がほしい
- クレープやコーヒーのように、テナントに無いジャンルを足せる
効きにくいのは、次のような場面です。
- 屋外に区画が取れない:キッチンカーは車ごと来るので、屋外の区画と出入りの道が要ります。人が多く集まる催しで、調理の器具や発電機など火や熱を使う器具を使う出店があると、市町村の火災予防条例で消火器の準備が求められます。露店の開設を前もって消防署に届け出る決まりの市町村もあります(東京消防庁の案内では、開設の3日前まで)。中身は市町村で違うので、イベントの保健所・消防・保険を見て、会場の消防署に確かめてください
- 週末の駐車場が満車になる:駐車場の区画を使うと、その分だけ止められる車が減ります。満車になる日だけは広場に移す、台数を減らすなどの組み方を考えます
- フードコートと同じものを売る:テナントと取り合いになり、苦情が出ると続きません。ジャンルの選び方は商業施設でキッチンカーの催事を組むにはにあります
テナントとの契約や館の決まりで、共用部での飲食の販売の扱いを決めていることがあります。始める前に確かめてください。
効果の測り方
見る数字を1つと、比べる日を決める
始める前に、目的に合った数字を1つ決めます。数字ごとに、記録がある場所は違います。
| 目的 | 見る数字 | 記録がある場所 |
|---|---|---|
| 来館 | 入館者数、駐車場の入庫台数 | 入口の人数計、駐車場の機械 |
| 滞在 | 平均の駐車時間(入庫と出庫の時刻の差) | 駐車場の機械 |
| 回遊 | 館全体の売上・レジの客数、催しの近くの店の売上 | テナントからの売上の報告 |
| 再来館 | 会員の来館の回数 | アプリ・ポイントの仕組み |
| 食の催しそのもの | キッチンカーの売上・来客数・売れた品 | 出店者の売上報告 |
次に、比べる日を決めます。催しの日と、前後の週の同じ曜日(催しの無い日)を比べるのが基本です。前の年の同じ時期と比べるなら、祝日の並びやセールの有無がそろっているかを見ます。
天気と曜日でぶれるので、1回で決めない
屋外の出店は、天気で売上も人出も変わります。雨の日と晴れの日を並べても、催しの効果は分かりません。目安として、常設なら3か月ほど続けてから、催しなら同じ形を2回以上やってから、続けるかを決めます(期間は当社の考えです)。雨の日や、ほかの催しと重なった日は、分けて見ます。
アンケートやカメラを使うとき
「何で知ったか」「今日は何のために来たか」は、アンケートでしか分かりません。名前や連絡先を書いてもらう用紙やフォームで集めるなら、個人情報保護法第21条第2項により、原則として、あらかじめ本人に利用目的を明示する必要があります。抽選の応募を兼ねるなら、景品の決まり(次の章)も関わります。
カメラの画像で人数や動きを数える仕組みを入れるなら、総務省と経済産業省が2022年3月に公表した「カメラ画像利活用ガイドブック ver3.0」に、事業者が配慮することがまとめられています。
出店者の売上報告を使う
当社では、出店者が出店のあとに、売上・天候・来客数・品目ごとの販売数を報告する仕組みです。ご自身で募集を載せた施設は、マイページの「場所・案件管理」にある「売上報告Excel」から、出店日ごとにまとめたExcelを保存できます。曜日や天気ごとに並べれば、どの曜日に続けるか、どのジャンルが合うかの材料になります。率をかける売上の考え方は売上報告と手数料の計算にあります。
抽選会・来館プレゼントと組み合わせるとき
催しの日に抽選会や来館プレゼントを重ねるなら、景品表示法の景品の上限を確かめます。消費者庁「景品規制の概要」では、次のように決まっています。
| 形 | 景品の最高額 | 景品の総額 |
|---|---|---|
| 一般懸賞(抽選などで一部の人に渡す) | 取引価額5,000円未満は20倍、5,000円以上は10万円 | 懸賞にかかる売上予定総額の2% |
| 共同懸賞(地域や商店街〈これに準ずるショッピングビル等を含む〉の小売業者などの相当多数が共同で行うもの) | 取引価額にかかわらず30万円 | 懸賞にかかる売上予定総額の3% |
| 総付景品(来店者にもれなく、または先着順で渡す) | 取引価額1,000円未満は200円、1,000円以上は10分の2 | (総額の定めは無く、最高額だけ) |
同じページは、来店者を対象に金品を出す場合は「取引に付随」するものとみなされ、景品規制の対象になると説明しています。消費者庁の「一般懸賞について」(Q&A)では、買い物を条件にせず来店した人に抽選で渡すときの取引価額は原則100円で、最高額は2,000円とされています(Q88)。
共同懸賞のうち商店街で行う形は、告示「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」で、中元・年末などの時期に年3回まで、年間通算70日以内に限られています。館全体で行う抽選が共同懸賞に当たるか、キッチンカーで使える券を景品にするとどう扱われるかなど、組み方で判断が変わるところは、消費者庁の案内やQ&Aで確かめてください。
小さく始める5つの手順
- 目的と数字と比べる日を決める:上の表から1つ選びます
- 形を選ぶ:ほかの催しに添えるか、食を主役にするか、曜日で続けるか
- 区画と条件を決める:区画の広さ、車の出入り、電源と水、火気、ジャンル、出店料の形。決めることの一覧はキッチンカーを呼ぶときの注意点に、出店料の形はキッチンカーを誘致する方法にあります
- 募集を出す:催しの募集は早めに出します。当社に掲載された冬(11月末〜1月)の単発の催しでは、掲載日と開催日が読めた5件のうち4件が、開催の2か月以上前に載っていました(初売りにキッチンカーを呼ぶには)。書く項目は出店者募集要項の書き方にあります
- 決めた数字で見直す:常設なら3か月ほど、催しなら2回目のあとに、続けるか、曜日や台数を変えるかを決めます
出店コネクトナビでは、無料の会員登録で「お店を呼びたい」を選ぶと、ご自身で募集を載せられます。掲載料・登録料・成約手数料はかかりません。掲載は承認制で、出店料などの条件を運営が確かめてから公開します。催しの日の出店者探しから任せたい場合は、イベントのキッチンカー手配からご相談ください。
よくある質問
キッチンカーを呼ぶだけで、来館者は増えますか?
呼ぶだけで増えるとは限りません。食を主役にするなら、催しの名前と告知が来館の理由になります。当社に掲載した商業施設の終わった催しでは、題名から中身が分かる7件のうち5件が、よさこいや子どもの職業体験など、人を呼ぶ催しが別にあり、キッチンカーはその日の食を受け持つ形でした。増えたかどうかは、入館者数や駐車場の入庫台数を、催しの無い同じ曜日と比べて確かめます。
商業施設の集客イベントにキッチンカーを入れると、費用はかかりますか?
当社に掲載した商業施設の募集65件に、施設の側が出店者にお金を払うと書いた募集はありませんでした。金額が書かれた出店料は、どれも出店者が払う額です(「お問い合わせください」とだけ書いた募集もあります)。ただし、催しそのものの企画・告知・当日の人手は施設の持ち出しになります。手配を任せる場合の費用の形はキッチンカーを呼ぶ費用にあります。
平日の集客にも使えますか?
平日も出られる形の募集が中心です。当社に掲載中の商業施設の常設のうち、曜日か日付が分かる36件の35件は、どの曜日でも出られる形でした。決まった平日に続けて出し、館内の掲示やアプリで知らせれば、その曜日に来る理由づくりに使えます。効果は、平日どうし(同じ曜日どうし)で比べて確かめてください。
効果は何で測ればよいですか?
目的に合わせて1つ決めます。来館なら入館者数や駐車場の入庫台数、滞在なら平均の駐車時間、食の催しそのものなら出店者の売上報告です。催しの日と、前後の週の同じ曜日を比べ、雨の日やほかの催しと重なった日は分けて見ます。
抽選会と組み合わせるときに気をつけることは?
景品表示法の景品の上限です。抽選で一部の人に渡す一般懸賞は、取引価額5,000円未満なら20倍、5,000円以上なら10万円が最高額で、総額は売上予定総額の2%までです。買い物を条件にせず来館した人に抽選で渡すなら、最高額は原則2,000円です。来店者にもれなく渡す総付景品にも上限があります。消費者庁「景品規制の概要」と「一般懸賞について」(Q&A)で確かめてください。
まとめ
- 打ち手は、来館・滞在と回遊・再来館のどれを動かしたいかで選ぶ。施設の持ち出し、お金の向き、テナントとの関係、測りやすさも並べる
- 食の催しは「ほかの催しに添える」「食を主役にする」「曜日で続ける」の3つの形。当社の終わった催しでは、中身が分かる7件のうち5件が添える形
- 当社に掲載した商業施設の募集65件のうち51件が常設。常設はどの曜日でも出られる形が中心で、曜日まで分かる終わった催し5件は、どれも土日を含んでいた
- 効果は、目的に合った数字を1つと比べる日を始める前に決め、天気でぶれるので1回で決めない
- 抽選会や来館プレゼントを重ねるなら、景品表示法の上限を確かめる
商業施設での組み方は、催事の条件・定期開催の曜日と時間帯・商業施設・オフィスビルへの導入・スーパーの駐車場・初売りの記事にあり、呼びたい方向けの記事は記事の一覧にまとめています。地域ごとのご相談は、千葉県・神奈川県・東京都・埼玉県のページからもできます。